SIA心のゼロ経営プロジェクト 山田 俊明
前回は人がうつ病などに陥ってしまう原因について、そこから抜けだすにはどうすればいいか?についてお伝えしました。
今回は、回復への実際のアプローチなどについて見ていきましょう。
実は2つ目の潜在意識のさらに奥の3つ目に「生命の源」ともいうべき、「本当の自分」というものが存在します。佐藤先生はこれを「真我(しんが)」と名付けました。
京セラ創業者の稲盛和夫さんは、著書「心。」(サンマーク出版)の中で、「心の最も中心にある「真我」から世界を見て物事を判断できたら、その判断は決して間違うことはありません。真我とは、この宇宙を宇宙たらしめている存在そのもの」と述べています。
また、遺伝子学の世界的権威で先日亡くなられた、筑波大学名誉教授の村上和雄先生は、「サムシンググレート(偉大なる何か)」と呼んでいました。
その呼び方は別として、この3層部分はこれまでの心理学にはなかった概念です。ですから、まだ知らない方がほとんどです。
また目には見えない部分ですので、科学的な証明はなかなか難しいのですが、誰一人例外なく、心の奥底に存在することが、佐藤先生とその研究グループによる30年以上の検証と、52万人以上の体験者の実証(変化)からわかってきました。筆者もその体験者の一人です。
そして、この「本当の自分」を引き出す(=アウトプットする)という体感をすることで初めて、根本原因をゼロにできることが、数々の実証から判明したのです。
実際、佐藤先生が運営する医療機関「YSこころのクリニック」(東京都中央区/宮島賢也院長)でうつ病患者を対象に臨床データを収集したところ、驚くべき結果が出たのです。
約60名の患者さんを対象に約90日渡って実施した臨床治療の調査データによれば、うつ寛解率は90.9% 、再発率は2.3%という結果が出たのです。
これは、これまでの心理療法では考えられない数値です。冒頭でお伝えしたように、医療機関での薬事療法による再発率は60〜90%と報告されていますので、この臨床結果の数字が示す意味の大きさがご理解いただけると思います。
なぜ、こんなに寛解率が高く、再発率が低くなるのか? 当然、不思議に思われる方も多いと思います。
簡潔に言えば、先生やカウンセカラーからの教えや指導ではなく、自らの意思で「すばらしい本当の自分」に気づき、引き出すという方法だからです。
その結果、過去の記憶から来る「心のくせやトラウマ」が解消され、自己肯定感は自然と高まります。
人間の頭で考えた心理テクニックではなく、元々生まれた時から自分の中に内在するものを引き出し、体感するわけですから、以前のうつ状態には戻りませんし、再発もしなくなるのです。
さらに重要なことは、この根本原因を解消すると、環境原因も自然に改善していくことです。
わかりやすい例を一つご紹介します。
ある会社員の男性が長年の夫婦問題で悩み(環境原因)、うつ状態になっていました。そこで本人が潜在記憶の中を掘り下げてみたところ、「子供の頃、両親が離婚した事による親への怒りやわだかまり」が根本原因である事が判明しました。
いかがでしたか?うつなど心の不調から抜け出すのに大切なことはインプットではなくアウトプット、本当の自分に気づき引き出すことが大切ということでした。
心の第3層にある「本当の自分(真我)」を引き出したところ、自然と両親への怒りが心からの感謝に変わり、根本原因が解消されました。
さらに、相手の奥さんに対してこれまでに感じた事がない感謝と贖罪の気持ちが湧き出てきて、その事を正直に伝えたところ、離婚寸前だった夫婦関係は少しずつ改善していったのです。その後うつは完治し、今では新婚のように仲良くされています。
なお、この「本当の自分」を引き出す方法については、この記事で紹介しきれませんので、詳しくは、拙著「人生を変える!本当の感謝」(自由国民社)の第2章をご一読いただきたいのですが、基本的には、所定の紙にひたすら書くというワークが中心になります。
白い紙やノートに自分の気持ちや想いを書き出すという行為は「ジャーナリング」と言って、潜在意識の記憶を掘り起こすことができ、瞑想と同じ効果があると言われています。
そして、この「本当の自分」を社員一人ひとりから引き出すことで、根本原因を解消し、自己肯定感を高めていくということが、企業が取り組むべき「真のメンタルヘルス対策」なのです。
メンタル不調者を寛解させていくこともちろん大切ですが、心の不調は外部の人間からはわかりませんし、先述のようにストレスチェックを実施しても、判明しないこともあります。
であれば、経営者も含め、幹部・社員スタッフ全員に対して、「根本原因の解消としてのメンタルヘルス」を社内に普及させていくというのが、「プレゼンティズム対策プログラム」というアプローチです。
「プレゼンティズム」とは、メンタルに問題がなさそうな人もひそかに不調を抱え、勤務していても本来あるべき生産性を発揮できていないケースのことを指し、「疾病就業」とも言われています。
実は厚生省の調査で、「メンタル不調なまま働き続けることによる経済損失」が「メンタルヘルス不調で休職者が出た場合の経済損失」の3倍以上であることが判明したのです。
このプログラムは、「心の3層構造」をベースに潜在意識の奥にある「本当の自分」に意識を向け、その「プレゼンティズム」を防止・解消させる世界で唯一の「真のメンタルヘルス対策」研修です。
本研修を受講すると、社員の自己肯定感は自然に向上し、家族内や職場内での人間関係が最高になっていくので、仕事への意識も飛躍的向上し、生産性向上、強いては業績の拡大を実現します。
事実、千葉県の中堅不動産会社が本プログラムを受講したところ、たった3ヶ月で粗利益が対前年比の約2.5倍に伸びました。これには社長もさすがに驚いていたようですが、このような事例は枚挙にいとまがありません。
これから、皆さんの会社がどのようなメンタルヘルス対策に取り組むにしろ、一つだけ明確にしておきたいことがあります。
それは、経営者・幹部・社員一人ひとりが、問題の根本原因・解決策は外部や相手側にあるのではなく、すべては「自分の心の在り方」にあるということです。
このことを、まず経営者自身が自覚し、社内全体で共有し、認識し合う事があなたの会社の大切な社員を守る「真のメンタルヘルス対策」の第一歩となるのです。
オールライフケア合同会社 提携パートナー
一般社団法人SIA心のゼロ経営プロジェクト
代表理事 山田 俊明