社会保険労務士 菊池 麻由子
「働き方改革」という言葉は、ビジネスの最前線で活躍されているみなさんにはおなじみのワードになってきましたね。
そこで、ここではまず「働き方改革」というものを紐解いていきましょう。2017年に当時の安倍総理が自ら議長となり舵取りをすることで労働界と産業界のトップ、有識者が集まりました。
それまで以上にレベルを上げ議論する場として「働き方改革実現会議」が設置され、そこから全てが始まりました。
「働き方改革実現会議」で議論が重ねられた結果、2018年には10年先のロードマップまでを描いた「働き方改革実行計画」が公表され、次々と法律の改正等を経て、今もなお進行中です。
年次有給休暇の5日付与を企業に義務付け、時間外労働の上限を設けることで過重労働を防止、そして非正規雇用と言われる労働者が雇用形態による差別や不利益を受けることのないよう会社に求める同一労働同一賃金・・・などの施策により、会社も労働者も「働き方」に関してぐんと意識が高まりました。
それがさらに加速したのは、やはり新型コロナウイルスの影響と言えるでしょう。緊急事態宣言による働き方の見直し、テレワーク、そしてデジタル化など、今まで誰も経験したことのないスピードで変化を余儀なくされました。
今後も変化するスピードは早く、常に変化を求められるストレスフルな社会になりつつあります。
ここにきて私のところにも、会社のあり方や制度などの再確認や、見直しの必要性を感じたご相談が増えています。
そのような現状から、今回は働き方に関する会社と社員の“幸せな関係性”について考えてみたいと思います。
最近、製造業の社長からこんなご相談がありました。
「会社で戦力として活躍していたSさんが突然やめることになったのです。」
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いかがでしたか?ここ数年、ビジネス界隈において「働き方改革」というのはメジャーなキーワードとなり、働き方についての意識はとても高まりました。
そして、そこに新型コロナウイルスの蔓延が加わり、改めて会社としてのあり方や制度などが問われる社会となりましたね。
いつも元気な社長の表情が曇っていました。社長がSさんにやめる理由を聞いたところ、
「企画やデザインをやってきた経験を活かして、自分の力でやっていきたい」という返答をされたようでした。
今までその会社では前例のないことだったため、社長はかなりのショックを受けていました。しかし、思い起こしてみると社長はこれまで社員に向け、
「一人一人が自立し、みんなで理念に沿ってチャレンジしよう」
という理念を日頃から発信していたことに気が付きました。
結局、その理念を前向きに理解し自立した行動をしていた社員が退職することになったのです。
会社はSさんの仕事を高く評価していたため今後も力を貸して欲しいという気持ちがあり、一方Sさんもその会社の仕事にやりがいを感じていました。
両者のメリットが合致し、今までの仕事の一部を受けるという形で今後は業務委託パートナーとして連携していくことになったのです。乗り越えるハードルは多々ありますが、今後増えていくご相談となるでしょう。
「一人一人が自立し、みんなで理念に沿ってチャレンジしよう」
という理念を日頃から発信していたことに気が付きました。
結局、その理念を前向きに理解し自立した行動をしていた社員が退職することになったのです。
会社はSさんの仕事を高く評価していたため今後も力を貸して欲しいという気持ちがあり、一方Sさんもその会社の仕事にやりがいを感じていました。
両者のメリットが合致し、今までの仕事の一部を受けるという形で今後は業務委託パートナーとして連携していくことになったのです。乗り越えるハードルは多々ありますが、今後増えていくご相談となるでしょう。
また、IT企業の社長からはこんなご相談がありました。
「Iくんから退職したいと言われたのです。入って1年経ってないけど真面目に一生懸命やっているので、期待していたのに・・・」
Iくんに理由は?と確認したところ、
「今の自分の仕事に不安があり、自信がない。この会社には学ぶ制度がないので、自分で勉強しているが限界がある。教育制度がある会社があるので、自分のキャリアアップのために転職をしたい」
という返答が返ってきました。
そういえば、この間やめてしまった女性社員も同じことを言っていたな、と社長は思い出しました。自分の実力が評価されていなくてこの先が不安と感じている。勉強して、自分のスキルを高めるために転職したいという声があがっている。
社長には一人一人がその人の能力を発揮できる環境を整えて、会社も成長させたいという内に秘めた強い思いがあります。Iくんは退職届を書く前に相談してくれたのだから、まだできることがある。
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いかがでしょうか。製造業の会社の社長へSさんから突き付けられた退職の意向。ですが、Sさんの行動は社長の理念に乗っ取ったものであり、最終的にはお互いが納得いく形へと発展しました。
この発展はお互いを尊重しあえるものであり、会社と社員が幸せな関係性を築く、最適な働きかたのモデルケースとも言えるでしょう。
次回は、新たな事例であるIT会社の社長からの相談内容を元に、より踏み込んだ形で、会社も社員も幸せになる最適な働きかたについて見ていこうと思います。
オールライフケア合同会社 提携パートナー
社会保険労務士法人ネクステップ菊池麻由子